ふと思い出して。

祖父が、父の幼少期の頃まで上田流尺八の指南をやっていたということがきっかけで、尺八が残っており、尺八を手にしたことが僕が尺八を始めるきっかけでした。

大学卒業するかしないか、というタイミングで色々迷い道に入っていた時期でもあります。

後を継ぐだとか、尺八の演奏に魅せられてというきっかけもなく、楽器を吹かせてもらって割と音がすぐにでたこと、他にやってそうな人が周りにいなかったこと、行き詰まっていたギタープレイにも良い影響が出るかな、とかいう軽い理由で尺八を始めたのでした。

尺八を始めてしばらく経ってから、伯父から、倉庫にしまわれていた当時の尺八譜を譲り受けたのですが、三曲合奏とか、楽譜だけではどうにもならんやつが多くて僕も押入れにしまったままにしておりました。

で、祖父の自作の曲の楽譜があった事を思い出し引っ張り出してみました。

尾方芳泉 (ほうせん)という名前でやっていたそうです。

父の小さい頃という話なので昭和30年(1955年)前後でしょうか…

「春雨」というタイトル。
…こりゃ、ほっとくと紙が朽ちて無くなってしまいそうだ。
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丁寧に手書きされてます。
僕が小さい頃から手が震えてるくらいの
おじいちゃんでしたから、こんな字を書くイメージは全くありませんでした。

毎年のように親戚で集まった祖父の家で筝や三味線、尺八と合奏が行われていたのかな…
と思うとなんだか不思議な気分です。

そういう写真も録音もまったく残っておらず、祖父の家に飾ってある免状だけ。

三弦の調律が書いてあるということは
三弦と尺八の合奏なのか…

もはや尺八譜だけで、ページも足りないし、どんな曲なのか窺い知ることはできません。歌詞も書いてあるし。

楽譜をもらった頃はまだまだ初心者でこんなの吹けるかい、と思っていたのですが今なら吹けそうです。

とりあえず吹いてみるかな…

祖父は2011年、僕の結婚式の前日(!)に亡くなったのですが、尺八を始めた事をとても喜んでくれて、僕の演奏を聴くのを楽しみにしてくれてました。

結局、演奏を聴いてもらったのは祖父の法事の時でしたが…
唇震えて聴けたもんじゃなかったと思いますが、喜んでくれたでしょうか。

一度だけ演奏会に誘ったことがあるのですが、
当時既に90前くらい?で1人で車に乗って聴きに来てくれようとしたみたいです…
が道に迷ってしまったらしく、
演奏を聴いてもらうことは叶いませんでした。

だから僕はやらなきゃいけない、
という使命感を感じてる訳じゃなくて
単に尺八が面白くなってしまって今に至るのですが、

いつも1人で詰め囲碁みたいな事をやっていた祖父のため、対戦相手を、と自分がプレゼントしたプレイステーションで80過ぎで囲碁ゲームを始め、一番強いレベルのコンピュータに長考させて、一手打って寝て待つ(当時は3時間くらいコンピュータが考えてたらしい)みたいな事をやっていたゲーマー気質と音楽好きの血は確実に受け継がれているのでしょう。

当時は機械学習のAIもまだまだだったでしょうし、インターネット接続もパソコンも今ほど手軽にできなかったので(祖父の家にゲームだけの為に勝手にネット回線を引くというのは事情もあり不可でしたし)パッケージ版の囲碁ソフトをやるしかなかったのですが、今ならそれこそスマホアプリででも、オンラインで簡単に色んな人と対戦できるので、それで世界の人たちと対戦やって欲しかったなぁ…と思うのでした。
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